日本経済について

高賃金が経済成長をもたらす:日本は低賃金なので成長しない

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今回は、なぜ資本主義経済が成長するのかについて記載したいと思います。

そもそも、資本主義は18世紀のイングランドの片田舎で発生したものです。それが世界に広がって現在に至ってます。”資本”を持つ者に富が集まるということで、私のようなサラリーマンは株式投資をすることで資本主義の恩恵にあずかろうとしています。

資本主義はなぜ18世紀まで発生しなかった?

資本主義といえば、資本を使って事業や投資を行い、事業からの利益や利子配当金を得ることで、元手より多額のお金を稼ぎだすプロセスです。では18世紀のイングランド以前に、「お金」とか「利子」とかは無かったのでしょうか?当然ながら、お金や利子などは(確認できるだけで)古代メソポタミアにもありました。時代が下って、古代ローマ時代には現代先進国と遜色のない法制度やインフラが整っており、商業を円滑に行うことが出来ました。(そもそも今の民法はローマ法を参考にしてます)三頭政治の一角であるクラッススはローマに多くの不動産を持つ大富豪でした。

ではローマ時代には技術が無かったのか、というと、大変高度な技術がありました。今も残っているコロッセオのコンクリートは非常に上部ですし、ヨーロッパ各地に残っている水道橋などの技術はあまりに凄すぎて、後年の中世ヨーロッパでは「悪魔の仕業」といわれたくらいです。更に、蒸気機関の原理も知っていたようです。ただし蒸気機関は単なるオモチャとして使われたようですが・・・。

お金もあるし法制度も整っており、技術もあった。大富豪も居た・・・。なぜ資本主義が生まれなかったというと、、

労働力が安すぎ」だからです。

古代は戦争に勝って捕虜を連行するなどで奴隷が多く手に入りました。また、借金が返せず、奴隷に転落してしまう債務奴隷も居ました。奴隷の労働コストは非常に安かったので、雇用主は道具や機械を整えて、わざわざ効率を良くしようとするインセンティブが生まれませんでした。農場主はわざわざ高い道具を買いそろえなくても、奴隷がただ同然で働いてくれるので、このままでいいか、ということになります。ということですでに十分裕福なローマの富裕層は、「資本家」となって生産性の向上を目指すことは無かったのです。当然、生産の効率を上げるために「借り入れをする」という発想もありませんでした。

そうこうしているうちに、貧富の差が広がりすぎて、ゲルマン民族が侵入して混乱のうちに西ローマ帝国が崩壊し、西欧は経済的な停滞の時代を迎えることになります・・。

なぜ18世紀のイングランドで資本主義が発生した?

資本主義のはじまりの地域はいかにも裕福なロンドンから、と思いきや、羊しかいない貧しいイングランドの北西地域です。当時は綿織物が主要な工業製品でしたが、安く品質の高いインド産綿織物に市場を奪われて、イングランド北西部の事業者は困っていました。なぜインド産よりイングランド産のほうが高いのか・・・・・それはイングランド労働者の賃金が世界的に高かった、というのが原因です。

事業者は、いかに高い労働コストを抑えるかを考えました。当然思いついたのが、生産効率を上げるために機械を導入するという解決策です。こうしてイングランドの綿織物事業者は「資本家」となりました。当初の資本家は大してお金のかからない簡単な道具で生産性の向上を目指しました。用意した資金も、銀行から莫大なお金を引っ張ってきたのではなく、親類から借りたという程度の微々たる金額です。

なぜ資本家が「投資」をしてまで生産性の効率化を目指したのかというと、当時のイングランドは法制度が整っており、支配者が好き勝手に税率を上げることができない、というフェアな社会だったからです。小作人も、予め領主と取り決めた小作料を払えば残りは自分の取り分になるので、頑張って生産しようというインセンティブが働いたようです。逆にどんなに頑張っても、自分の取り分が増えない、支配者に収奪されてしまう、という社会であれば「べつに生産性上げても意味ないや」ということで社会全体は停滞したままとなります。

まとめると、資本主義が始まったのは「高度な技術」でも「多額の資金」でもなく、「法の支配」と「高い賃金」だった、ということです。少しでも生産性を上げてなんとか自分の取り分を増やそうとする事業者のインセンティブが、資本主義のはじまりだったというわけです。

18世紀から19世紀にかけて、綿織物の生産性を上げるような発明がなされ、さらに蒸気機関が発明・実用化されることでイギリスの生産性は爆発的に向上しました。そして生産性が向上した結果、イギリスから飢餓がなくなりました。19世紀にイギリスを調査旅行したフランス人は「イギリスは農家の雑役夫ですら余裕のある暮らしをしている・・」と驚きを込めて記録したようです。フランスはじめ他国の人々は「なぜイギリスはこんなに豊かなんだ」とビックリして原因を調べて自国にも資本主義を定着させるべく、農奴解放などの制度改革・イギリスからの技術導入を行い、資本主義が世界に広まっていきました。

賃金が高いので、少々高い生産設備を導入しても、それにより実現するコスト削減も大きなものでした。よって、どんどん生産設備が導入されていき、さらに資本家のニーズにこたえて更に効率のよい生産設備が導入されていきます。

一方で、綿織物工業において賃金の低かったインドは、生産設備を導入しても、削減できるコストが微々たるものでした。なので事業者はわざわざ高い生産設備を導入しようとしませんでした。そうこうしているうちに機械で生産された安い高品質のイギリス産綿織物が市場を席捲し、インド人の綿織物業者は軒並み廃業となってしまいました。

資本主義の歴史からわかるのは、「高賃金が資本主義・経済成長を駆動する」という事象です。



 

今の仕組みから考えると、日本は経済成長しない

残念ながら、今の日本の労働者は下記のような条件で働いています。

  • 生産性が高くても、低くても、年齢で給料が決まる「年功序列」システム
  • 仕事をすればするほど、さらに仕事が降ってくる
  • 先進国ではかなり低い給料(先進国で部長級は年収3千万円はザラですが、日本では1千万円程度。初任給もずっと20万円程度)
  • さらに政府・経済界は「定額働かせ放題」を実現すべく、橋頭保として「高度プロフェッショナル制度」を導入した

今の日本社会は、特に生産性を向上させなくても、労働者の賃金は安いし、仕事はいくらでも押し付けられるので、効率を上げる生産設備やITシステムを導入するインセンティブが働きません。むしろ、高プロ導入などに象徴されるように、労働者を安くこき使い倒す、という発想しかありません。

また日本企業は歴史的経緯により株主へのリターンにまったく熱心ではありません。企業が成長し、収益を上げなければクビという欧米の経営者と違い、物いう株主の少ない日本の経営者は「自分の任期中は何もなければOK」という、のほほんとした企業経営、事なかれ主義に陥っているのがほとんどです。

というわけで、「何が何でも生産性を上げて、自分の取り分を増やしたい」という資本家的発想が生まれないという仕組みになっているのが、現代の日本経済、特に伝統的な大企業の状況です。

今後労働者不足により賃金が上がるのかもしれませんが、結局安い外国人労働者が日本に押し寄せることで、賃金は低いままでしょう。そうすると、過去のローマ帝国やインドのように、「わざわざコストのかかる設備投資をせずとも、賃金が十分安いので労働者を働かせたらよい」と事業者が考えることになります。なので生産効率を上げるような努力を、国全体が怠ることで、世界にさらに置いてけぼりにされる・・・・・こんな日本の未来が容易に想像できます。

私も日本の伝統的な大企業に勤めていますが、発想が「コストカット」ばかりで、生産性向上の思考が驚くほどありません。世界の同業他社と比べても利益率や投資効率が圧倒的に低いです。ただ、それを経営陣が気にしている様子もありません。このままだとジリジリと差を開けられるな・・・と危機感を抱いていますが、会社のために頑張ろうとしても給料は「年功序列」で決まるので、頑張る気が起きません。皆そう思うので、おそらくこのまま没落していくでしょう。

というわけで、私のような日本の大企業サラリーマンは会社からの収入のみに依存するのは危険だと思います。定年まで30年近くありますが、そのころには日本の没落は目を覆うばかりかと思います。個人でできる防衛策としては、日本や世界の高収益企業に株式投資をすることで、世界の生産性向上の努力、すなわち資本主義の恩恵を受ける仕組みを作っておく、ということかと思います。

日本経済の没落とともに、日本円の価値も下がってしまう可能性があります。よって、株式投資をする場合は、日本株だけでなく米国株をはじめとした外国の高収益企業への投資というのをメインにしたほうが将来の資産形成に資するかと思います。







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スモーク

スモーク

新卒日本企業→豪州駐在→豪州企業転職→日本に帰り日本企業転職→外資系企業転職で今に至る。オーストラリアには7年在住。豪州株がポートフォリオの主力で総資産は1億円弱、年間受取配当金は税後で300万円。すでに経済的自由は達成も、まだまだ資産と配当金を伸ばしていきたいと考えている。

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