送電線・パイプライン株分析

ナショナルグリッド(NGG):送電線とパイプラインの運営会社

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エネルギー株分析第2弾として、非常にベタですが、安定高配当株で人気のナショナルグリッドについて分析してみました。送電線とパイプラインの事業運営会社ということで、非常に安定したビジネスモデルです。さらにこの銘柄は英国ADRということで、現地課税がゼロというのもまた魅力です。夢の配当金生活では主力銘柄になると思います。

ナショナルグリッド(NGG)の分析まとめ

  1. 送電線使用料・パイプライン使用料は政府による料金規制により、売上・利益を確実に上げることができる。いわゆる”ぼろもうけ”は出来ないが、非常に安定したビジネスモデル。
  2. 政府により配当金分の収益は確実に保証されている。投資家は、今後も安定した配当金を得ることができる。
  3. 確率は低いとは思うものの、「エネルギー料金を低減」というポピュリズム的政治家により、不当に規制料金が下げられることが最大のリスクと考えられる。

ナショナルグリッドのビジネス

ナショナルグリッドは英国と米国北東部(ニューヨーク州・マサチューセッツ州・ロードアイランド州等)に送電線・ガスパイプラインを保有しています。送電線やパイプラインの使用料を貰うという分かりやすいビジネスモデルです。保有する資産は下記の通りです。

英国の送電線・パイプライン網

米国の送電線・パイプライン

 

これらの送電線使用料・ガスパイプライン使用料は政府により規制されており、英国と米国で規制の在り方は若干違うものの、ざっくりいうと以下の図の通りいくつかの要素を規制機関が算定して、それを合算したものがナショナルグリッドが得られる「1年間の売上」となります。

  • 送電線やパイプラインといった資産のうち、「負債」「株主資本」にそれぞれ対しそれぞれ負債コスト・株主資本コストが規制機関により決められ、「リターン相当分」が算定される。
  • 資産額に対し「減価償却分」が算定される。
  • 操業のための人件費といったコストが算定される。
  • 税金相当分が算定される

以上の合計がナショナルグリッドの売上として規制機関から保障されます。

 

我々投資家からすると、規制機関がちゃんと「利払い」だけでなく「株主資本コスト」相当分のリターンをナショナルグリッドに保障しているかどうかが気になります。

下記は2018年3月期のアニュアルレポートからの抜粋したものですが、英国のガスパイプライン資産は株主資本コストとして6.8%、送電線資産は株主資本コストとして7%が規制機関から認められています。

続いてアメリカ規制機関が認めている株主資本コストです。これはニューヨークの資産ですが、株主資本コストとして9%のリターンが認められています。

 

以上のように、規制機関としては、株主へのリターンとして7~9%程度を認めています。私なんかはいまの状況では配当利率として税前5~6%あればいいので(そりゃ高いほうがいいですが)、十分なリターンが認められているのかなあと思います。

以上のようにナショナルグリッドは規制機関に守られた環境下でビジネスを行っており、株主としては一けた台後半のリターンはほぼ確実に期待できます。

リスクとしては、ポピュリストの政治家が「電気代・ガス代が高い!」といって政治介入で規制料金を無理やり下げるということが考えられますが、、、英国も米国も株主へのリターンを重視する国ですのでリスクは低いと考えていいでしょう。ただし、選挙のたびに公約は確認する必要はあるのかなと思います。

ナショナルグリッドの財務数値

アニュアルレポートから各種数値を拾いました。数字は全部ポンドスターリングです。ネット証券からはナショナルグリッド株はドル建てのADRを購入しますが、為替などの計算がややこしすぎるのでアニュアルレポートに記載されているポンドベースでまとめています。

売上・利益

みごとに安定しています。利益は少しずつ上がっていますね。2017年は、英国のガスパイプライン網を売却したので利益が跳ね上がっています。また、営業CFマージンは20%を超えており、強いビジネスモデルが数値に表れています。

キャッシュフロー

営業CFは当然のごとく毎年黒字です。年によって凸凹はあるものの、おおむねフリーキャッシュフロー(営業CFと投資CFを合算した簡易なもの)の範囲内で、配当金を払っています。配当金を払い過ぎておりこのままだと減配する、といったような(過去のキンダーモルガンのような)心配をする必要はないでしょう。

バランスシート

負債の比率が徐々に下がっており、バランスシートが強靭化しています。安定してキャッシュを得られる業態ですので、そこそこの負債を入れてレバレッジを掛けたほうが効率よく稼げますね。

一株あたり利益・配当金と配当性向

おおむね配当利率は60%前後で、無理せず配当を払っています。また、上記の通り2017年は資産売却によって特別配当を出しています。リターンをキッチリ投資家に返す姿勢は大変好感が持てます。

 

ナショナルグリッドの将来の見込み

将来も安定してキャッシュを稼ぎ、投資家にリターンを出し続けると思います。新たな資産買収や既存の資産売却などを実行するかもしれませんが、いずれにせよ規制に守られたビジネスに進出するので、会社としてのリスクが大幅に変わるような事業運営をすることはないでしょう。高成長はしないと思いますが、英国・米国ともに人口増加国なので徐々に売上・利益は増えていくものと思います。

最後に

この会社は安定しているものの、高成長することは無いという低リスクというのが投資先としての特徴です。よって長い目で見たナショナルグリッドへの投資リターンは、インデックス投資などには負けると思います・・・。でも高配当だし、個人的には配当金がほぼ確実入るという安心感というのは数値では表せないのかな・・と思います。というわけで多額ではないものの、コツコツ買いたいなと思った銘柄の一つです。この1・2年はポンド安とドル高・ドル金利高で売り込まれるのかなと思います。その間に拾えればと思っています。







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スモーク

スモーク

新卒日本企業→豪州駐在→豪州企業転職→日本に帰り日本企業転職→外資系企業転職で今に至る。オーストラリアには7年在住。豪州株がポートフォリオの主力で総資産は1億円弱、年間受取配当金は税後で300万円。すでに経済的自由は達成も、まだまだ資産と配当金を伸ばしていきたいと考えている。

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