投資の考え方

個人投資家は52週高値で株を売りやすく、機関投資家に負けやすい

投稿日:

投資心理に関する論文がありましたので、自戒を込めて紹介します。SSRNというサイトがあり、登録すれば様々な論文を無料で読めます。今回の内容はこの論文からです。個人投資家・機関投資家の株式取引の記録から、あるパターンを導き出しています。

それは、「個人投資家は52週高値で持株を売る傾向がある」というものです。

まず、52週高値というのはそれ自体は意味を持ちません。単に過去1年で一番高い株価というだけです。今後それから上がるか、下がるかは企業業績やその時々の株の需給によります。

しかし、論文によると、個人投資家は52週高値で株を売る傾向があるというようです。

下記のチャートでいうと赤いところで売りやすいということです。

 

 

理由として、人間心理があります。行動経済学でいう「アンカリング効果」というもので、人間は印象的な情報を得るとその後の意思決定に影響を及ぼすというものです。詳細はググればいくらでも出てきますが、例えば全く同じ商品であっても「1万円の商品だけど本日だけ8000円!」という値札が貼ってある場合よりも「3万円の商品だけど本日だけ8000円!」という値札のほうがお客さんが「おー、お得だな~」と思うという効果です。最初に定価を1万円とするのか、3万円とするのかで、心理的なお得感が異なります。この最初の提示する値段を「アンカー」といいます。人間はアンカーに引っ張られて価値判断していまう傾向があります。

52週高値も同じで、1年間の最高値を見ると「ああ、これ以上価格が上がらないなぁ~」と特に根拠もなく思いこみやすいのです。我々は人間である限りほぼ全員このようなバイアスで株価を見てしまいます。よって、個人投資家の多くは52週高値で株を売る傾向が高くなります。

一方、機関投資家は個人投資家よりも比較的、人間心理がもたらす判断のバイアスに毒されにくいです。複数で意思決定することが多く、衝動的な売り買いがしにくいからです。

論文によると、過去の株式取引の記録(2004年1月~2009年12月)を集計した結果、52週高値では個人投資家の売りが多く、機関投資家が買いが多いというパターンだったようです。

で、52週高値実現後に株価がどうなったかというと、株価がさらに上がり続ける場合のほうが多かったようです。このことで、52週高値で売ってしまった人は、その後に実現したであろう平均リターンおよそ5.5%をみすみす逃してしまった、ということです。

論文の結論としては下記3点です。データ集計期間が2004-2009年なので、この期間の株取引のみに成立する話、というツッコミもあるかと思いますが、個人的にはどの時代でも当てはまる普遍的な現象だと思います。

・個人投資家のリターンは機関投資家に負けてしまう。

・理由はアンカリング効果で個人投資家は不合理な意思決定をしてしまうため。代表的なのが52週高値で売るというもの。

・機関投資家は個人投資家による不合理な売りを拾い、個人投資家をアウトパフォームする。

 

翻って自分が株を買うときは、1年くらいのチャートをみて「過去と比べて下がったから買ってみようかな~」と、いうパターンが多いように思います。まさにチャートというアンカーを見て、不合理な意思決定をしやすいような行動パターンです。

私も人間である以上、アンカリング効果に騙されやすいというのを肝に銘じながら売買の意思決定をしたいものです。配当利率と、配当を将来も維持できる見通しがあるか、という2点を確認してから買うだけでも、不合理な買いを防ぐことが(100%防ぐのは無理にしても)出来るかなと思います。







  • この記事を書いた人
スモーク

スモーク

新卒日本企業→豪州駐在→豪州企業転職→日本に帰り日本企業転職→外資系企業転職で今に至る。オーストラリアには7年在住。豪州株がポートフォリオの主力で総資産は1億円弱、年間受取配当金は税後で300万円。すでに経済的自由は達成も、まだまだ資産と配当金を伸ばしていきたいと考えている。

-投資の考え方

Copyright© 株式投資で経済的自由 , 2018 All Rights Reserved.