税金

国外財産調書制度

投稿日:

私は今年までオーストラリアに住んでいて、いまでも豪州の証券口座で株取引をしています。日本に帰ってきて、税務上の日本の居住者になったので、そのままほったらかしたら脱税になりかねません。一応分かっているのは、配当金と譲渡益は、毎年の確定申告で分離課税で納税するということです。書類の準備や計算は面倒くさいのですが、エクセルを作ったので何とかなりそうです。作業をする上にお金を払うという、罰ゲームなのですが・・・最近は近所の図書館で本借りてるし、住民としての納税義務は果たそうかな、となるべく前向きに考えるつもりではあります・・・。

ところが、私のように海外で資産を持つ人は、もうひとつ義務があるようです。それは「国外財産調書制度」というものです。

国外財産調書制度とは

海外に5000万円以上の資産を持つ人は、毎年3月15日までに管轄の税務署に「昨年12月31日時点で、これだけの財産をもっています」という情報を出す必要があります。詳しくは国税庁のホームページに記載があります。

私の場合はオーストラリアに5000万円以上の資産があるので、これを提出する必要があります。もし提出せずに、かつ税務署に指摘された場合は「1年以下の懲役または50万円の罰金」を課されるようです。刑事罰って・・・・。もちろん運用によりそんな酷いことにはならないと思うのですが・・・。確定申告でキッチリ支払っている人にまで罰金を科すようなことはしないと思いますが、念のためルールには従う必要があります。

国税庁のポスターには下記のように記載しています。男性が笑顔で「罰則規定があります」と言っているのが何とも恐ろしいというか・・・。

というわけで、先日時間があったときに税務署に行って提出用の書類をもらってきました。

こんな書類でした。

これに記載して、確定申告の際に税務署に提出すればOKですね。私の場合は上場株式だけなので、そんなに面倒でもないのですが、非上場株式など時価が良くわからない外国資産を持っている人は、すごく面倒くさそうですね。数百億円規模の財産を持っている人は税理士にお任せしていると思いますが・・・。

ところで先日この書類を税務署に取りに行った時、窓口の人に「国外財産調書の提出書類をください」と伝えたら「???」という反応でした。おそらくそんなに事例がないのかもしれません。今私が住んでいる街は人口が多いところなのですが・・。窓口の奥にいたベテランのような方が、別の部屋から提出書類を持ってきてくれました。普段出ない書類なので、わざわざ別の部屋から持ってきたのかなあと思います。

しかし、日本の窓口は非常に素晴らしいですね。オーストラリアの窓口なんて、担当者によって言っていること違うし、間違った情報を適当に伝えてくるし、たらい回しだし、、と酷いのですが、その点日本はかなり親切です。

ただ、これは個人的な見解ですが、「窓口の親切さ」には裏表があるように思います。海外では、窓口が信じられないから消費者側がITで手続きするインセンティブが生まれてどんどん社会のIT化が進みます。しかし、日本は窓口がそこそこ信頼できるので、なかなか手続きのIT化が進みません。昔、豪州に渡る前に日本にいたとき、ちょっとした副業収入が20万円以上になったので、国税庁の確定申告のホームページを触ったことがあるのですが・・あまりに使いにくさで困った経験があります。。。まるで全部をマス目にしたエクセルのようなフォーマットで、ちょっと利用者としては微妙なユーザインターフェースだったように思います。。。今はもっと使いやすくなっていればいいのですが。

以上は完全に私の個人的な主観で、異論反論はあると思います。。さて話が脱線してしまいました。

国外財産調書導入の背景

これはもちろん、富裕層が脱税しないように、ということに尽きるでしょう。泣く子も黙る日本の国税庁ですが、外国だと強制的な捜査はできません。なので、富裕層としては海外に送金して、海外で運用することで、その運用益を脱税することが可能です。ですが、最近は国際的に富裕層の財産を紐づけて、脱税を防ぐという取り組みが進んでいるようです。

日経新聞でも報道がありましたが、日本人の口座情報40万件を入手したようですね。脱税を摘発すべく、いま作業をしているものと思います。

富裕層対国税庁 どちらが勝つか・・・

個人的には「正直者がバカを見る」という社会は許せません。よって、脱税をしている人からはキッチリ税金を取ってほしいと思います。とはいえ富裕層側も合法・非合法問わず節税・脱税の方法はいくらでもあり、アドバイスする法律事務所も山のようにあります。

国税庁と富裕層のイタチごっとの様相です。どちらが勝つかというと・・・やはり富裕層側じゃないかな、と思います。理由は様々ですが、一つに「国税庁にはヒューマンリソースに限りがある」からです。

ここからは私の推測なのですが、国税庁といった役所も、職員の大部分は新卒で組織に入った人達で構成されており、中途で役人になることはまれだと思います。このような人事制度でも、ある程度誰でもできる仕事を回すのなら、問題ないと思います。しかし、富裕層の海外資産追跡といった国際的な資産の流れをつかむのは、誰でもできる仕事ではありません。知力、そして言葉もルールも違う各国の政府と連携できる対人能力など、非常に高度な能力が要求されます。いかに能力が高い人がそろっている国税庁であっても、そのような人を最初から育成するのは難しいですし、おそらく人員不足でしょう。

かといって能力が高い人を中途で採用しようにも、能力に見合った給料を出すのは難しいので、応募者はいないでしょうね。また、せっかく内部で育成した有能な人材も、高い給料を出す民間企業がヘッドハンティングする可能性も大きいです。私には中央官庁で働く知人もいますが、私の世代だと別に組織での出世に拘りはなく、面白そうな仕事・待遇のいい仕事があれば躊躇なく転職する場合が多いです。今はマシかもしれませんが、日本の組織では年功序列であり「意味もなく」先輩の言うことに絶対という文化があるようなので、英語などの語学ができる若手こそ、すぐに辞めてしまうリスクがありそうです。往々にして国際派な人って体育会的なノリが嫌いな人が多いものですし・・・。

というわけで日本的な「新卒採用・終身雇用・年功序列」という組織的な制度により、本来は重点的に補強すべきリソースを手に入れられないという状況下、国税庁の海外資産に関する追跡の能力はある程度限定的になってしまうのではないか・・このように考えます。ちなみにオーストラリアでは、税務機関のトップに民間の大手会計監査法人KPMG出身者が就任するようです。日本よりはフレキシブルな人事かなと思います。民間登用が絶対に良いとは限りませんが、少なくとも「内部だけでなく、民間から登用できる」という選択肢があるほうが良いでしょう。

上記は私の考え違いであればいいのですが。いずれにせよ公平な納税のためにも、お金をかけてでも優秀な人材を採用・定着させるような組織になるよう期待したいところです。ちなみに先日訪れた税務署の人達は感じが良い人ばかりでした。

株式の税金・資産課税が導入されたらどうするか

今でこそ配当金・譲渡益の税率は20%ちょっとですが、今後増税される可能性があります。消費税増税後の軽減税率により足りない税収をどこかで埋め合わせるために、財務省としては株の譲渡益・配当の税率を上げる計画があるようです。日経新聞にたまに観測記事がでるので、計画しているのは間違いないでしょう。

アベノミクスによる株高もあるなか、安倍政権としては株取引への増税には非常に後ろ向きのようです。投資家としては一安心ですが、おそらく将来のいずれかの時点では増税の動きが本格化するでしょう。また、足りない税収は富裕層から取ればいい、ということで資産課税が導入される可能性もゼロではありません。

株取引の増税は程度によりますが、資産課税はさすがに耐えられません。キッチリ納税する模範的(?)小市民の私でも、これではまた海外に移住します。資産を持っているだけで税金を払うというのは全く納得できません。株取引についても例えば税率50%になればさすがに国外に出ます…。

正直、私は英語は全く困らないので、英語が通じて物価が安いマレーシアあたりに逃げようと思います。おそらく富裕層のうち少なくない割合で英語は問題ないでしょうから、シンガポールなどに移住するでしょう。そうなると富裕層が持っていたフローへの課税が失われるので日本としても痛手ではないのかな…と思います。というわけで、私はマレーシアビザに関する情報を徐々に集めています(笑)。活用することは無いと信じていますが。オーストラリアでもいいのですが、物価が高すぎるのがネックです。もう少し資産が積み上げたらいいんですけどね。

日本政府の賢明な判断で、大幅な株取引の増税、資産課税導入がなされないことを祈るばかりです・・・。ただし最近の日本政府は、各個人のフローだけでなく、ストックの把握に非常に熱心なので、心配ではありますが。。。

オーストラリアでは、1年以上保有した株式については、譲渡益の税率が半分になる、という長期投資を促進する税制なのですが。。こういうフレキシブルな税制も検討してほしいところです。

 







  • この記事を書いた人
スモーク

スモーク

新卒日本企業→豪州駐在→豪州企業転職→日本に帰り日本企業転職→外資系企業転職で今に至る。オーストラリアには7年在住。豪州株がポートフォリオの主力で総資産は1億円弱、年間受取配当金は税後で300万円。すでに経済的自由は達成も、まだまだ資産と配当金を伸ばしていきたいと考えている。

-税金

Copyright© 株式投資で経済的自由 , 2018 All Rights Reserved.