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株主至上主義は自明ではなく集団妄想の産物か:投資家にとっては都合がいい

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欧米では株主への還元をキッチリこなすことが出来る経営者が評価されます。配当金であれ、自社株買いであれ、株主に報いるのが是とされています。株主への配当を維持するために不採算事業を廃止したり、人員をカットするのに躊躇しません。

投資家にとっては至極都合のよい考え方が欧米、特に米国ではスタンダードです。たばこ株なんて利益のほとんど100%を配当なり自社株買いに費やしています。しかしよく考えたらここまで投資家のために頑張るという考え方は自明ではないと思います。例えば、日本では配当を維持するために不採算事業を他社に売り飛ばすといったことは滅多にありません。日本以外の国でも、命かけてまで株主に報いるという意識がない国が多数あるでしょう。どこかで読みましたが、ひと昔前のロシアなんて「株主資本コスト?そんなのゼロでしょ」という考えが普通だったとか・・・。今はどうか知りませんが。。

というわけで、米国をはじめとした株主至上主義はいわゆる「集団妄想」ではないかと思います。最近話題の本の「ホモ・デウス」という本を読んで特にそう思いました。同じシリーズである「サピエンス全史」含めて非常に面白い本でしたので、非常にざっくりと内容を紹介します。

人間は集団妄想で繁栄してきた

世界の動物の中で人間だけが、高度な科学文明を築きました。ここまでの文明を築くには、非常に多くの人間の共同作業が必要です。数千万、数億人もの人間で共同作業を可能にしているのが「国の栄光」「神の栄光」といった、人々をまとめる「フィクション」です。例えば神の栄光というフィクションを大多数が熱狂的に信じたからこそ、十字軍遠征というとんでもない共同作業が実現しました。

また、人間は生きるために自らの人生に意味を見出す必要があります。世界に意味を与える虚構が、「国」という概念です。アメリカの自由万歳、大英帝国万歳、ドイツ帝国万歳、大日本帝国万歳、中華人民共和国万歳、とナショナリズムが高揚した時期もありますが、「国」なんていうのは制度であり、物理的には存在しないフィクションです。物理的に存在するわけではなく、人間の頭の中にあるだけです。しかし、これらを実在すると信じることで、見ず知らずの多数の人間が一致団結して共同作業を行うことができます。自国が侮辱されたら、あたかも自らが物理的に傷ついたのごとく怒りだすのが人間です。宗教もそうですね。

最も分かりやすい集団妄想は「お金」でしょう。1万円札なんてただの紙切れですが、全員がその紙切れに価値がある、と集団で妄想することで、流通します。そのことで円滑に経済が運営されることになります。現代はお金を媒介に数十億人もの人間が極めて複雑にからみあって共同作業を行うことができます。

ということで、人類繁栄の一要素として、「集団で虚構を信じて行動できる」ということが挙げられます。

株主至上主義も結局は集団妄想

共産主義や資本主義といったアイデアも結局は集団妄想です。資本主義の派生形である「株主至上主義」も、それがたまたまアメリカやイギリスに暮らす人々の生活様式・風土・考え方にマッチしたから、あたかも自明であるかのように信じられています。株主に報いないと、株価が下がって乗っ取られるというデメリットは日米同じであるはずなに、それでも日米の経営者で株主還元に対する真剣度合いは全く違います。寧ろ日本では会社の乗っ取りは「悪」であるかのように語られます。私が知っている限り、オーストラリアでは「会社買収」はネガティブには報道されません。買収によるプレミアムで既存の株主が報われるからです。(買収価格によりますが)。

株主に何が何でも報いるというのは自明ではないのですが、我々投資家としては都合のよい考え方ではあるので歓迎したいとは思います。特に株主に報いるべきという集団妄想が強いアングロサクソンのアメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアあたりの上場企業に投資するのが良いのかなと思っています。

 

無理やり株式投資に話を持っていきましたが、ホモ・デウスサピエンス全史ともに非常に良書だと思いますので、お勧めです。

 







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スモーク

スモーク

新卒日本企業→豪州駐在→豪州企業転職→日本に帰り日本企業転職→外資系企業転職で今に至る。オーストラリアには7年在住。豪州株がポートフォリオの主力で総資産は1億円弱、年間受取配当金は税後で300万円。すでに経済的自由は達成も、まだまだ資産と配当金を伸ばしていきたいと考えている。

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